消火の基礎知識、ここが勉強のポイント!
消火の基礎知識とは?
- 除去効果、窒息効果、冷却効果の3つを消火の3要素といいます。ここ暗記
- ハロゲン化物消火剤やりん酸塩類消火剤には、燃焼物の酸化を抑える負触媒効果があります。
- 火災は普通火災(A火災)、油火災(B火災)、電気火災の3種類に分類されます。
- 代表的な消火剤の種類(水、強化剤、泡、ハロゲン化物、二酸化炭素、粉末)と、適合する火災を理解しましょう。
- りん酸アンモニウム消火粉末を使った消火器は、ABC消火器とも呼ばれます。
よく試験にでる!消火の3要素について勉強しよう!
消火の3要素とは?
よく試験にでる!除去効果・窒息効果・冷却効果・(負触媒効果)
1.消火の3要素 ここ暗記
- 燃焼の三要素には、1.可燃物、2.酸素供給体、3.点火源があり、この3つが揃ってはじめて燃焼がはじまります。3つの要素のどれかを取り除くのが、消火の基本となります。
- 1. 可燃物を取り除く ⇒ 除去効果
- 2. 酸素供給体を取り除く ⇒ 窒息効果
- 3. 点火源を取り除く ⇒ 冷却効果
- 4. これを「消火の3要素」といいます。なお、この3つに「負触媒効果」を入れて、消火の4要素ということもあります。
2.除去効果による消火 ここ重要
- 可燃物を取り除いて消火する方法で、次のような例があります。
- 1. ガスの元栓を閉める(可燃物であるガスを遮断する)
- 2. ローソクの火をふいて消す(可燃性の蒸気を息で吹き飛ばす)
3.窒息効果による消火 ここ重要
- 酸素の供給を絶って消火する方法で、次のような例があります。いずれも、酸素の供給元である空気を遮断して消火します。
- 1. アルコールランプにふたをする。
- 2. 不燃性の泡で燃焼物をおおう。(泡消火剤など)
- 3. 二酸化炭素で燃焼物をおおう。(二酸化炭素消火剤など)
- 4. 土、砂などの固体で燃焼物をおおう。
4.冷却効果による消火 ここ重要
- 燃焼物が燃えて温度が上がると、その熱が新たな点火源となって、燃焼が続く原因となります。冷却効果による消火では、燃焼物の温度を下げて、点火源となる熱をうばい、燃焼が持続しないようにする消火方法です。冷却効果による消火には、次のような例があります。
- 1. 注水による消火
- 2. 強化液(水の消火能力を強化した液体)による消火
5.負触媒効果による消火 ここ重要
- 「負触媒効果(抑制効果)」は、可燃物の酸化が進まないようにして、燃焼を中断させる消火方法です。ハロゲン化物やリン酸塩類は負触媒効果をもっているため、消火器の消火剤として用いられています。
よく試験にでる!燃焼の種類と燃焼の仕組みについて勉強しよう!
消火剤の種類 | 主成分 | 消火方法 | 適応する火災 |
---|---|---|---|
水(棒状放射) | 水 | 冷却効果 (窒息効果) |
普通火災 |
水(霧状放射) | 水 | 冷却効果 (窒息効果) |
普通火災 電気火災 |
強化液(棒状放射) | 炭酸カリウムの水溶液 | 冷却効果 (窒息効果) |
普通火災 |
強化液(霧状放射) | 炭酸カリウムの水溶液 | 冷却効果 (窒息効果) |
普通火災 油火災 電気火災 |
泡消火剤(化学泡) | 炭酸水素ナトリウム 硫酸アルミニウム |
窒息効果 (冷却もあり) |
普通火災 油火災 |
泡消火剤(機械泡) | 界面活性剤など | 窒息効果 (冷却もあり) |
普通火災 油火災 |
ハロゲン化物消火剤 | ハロン1301 ハロン2402など |
負触媒効果 窒息効果 |
油火災 電気火災 |
二酸化炭素消火剤 | 液化二酸化炭素 | 窒息効果 | 油火災 電気火災 |
粉末消火剤 | りん酸アンモニウム | 窒息効果 負触媒効果 |
普通火災 油火災 電気火災 |
粉末消火剤 | 炭酸水素ナトリウム | 窒息効果 負触媒効果 |
油火災 電気火災 |
※ 全ての火災に適応するのは、霧状放射の強化液とABC消火器(粉末消火剤)
火災の種類とは?
A火災、B火災、C火災とは? ここ暗記
火災は普通火災(木材、紙などによる火災)、油火災(引火性液体による火災)、電気火災(電線、モーターなどによる火災)の3種類に分類されます。それぞれA火災、B火災、電気火災(C火災)といいます。
火災を消火するための消火剤には、多くの種類があります。しかしどんな火災にも効果がある消火剤となると、あまり多くありません。そのため消火剤は、どの種類の火災に使うのかがあらかじめ決まっています。
小型消火器の本体には、適応する火災の種類を示す「丸い絵表示」がついています。
- A火災 … 普通可燃物(木材、紙類、繊維など)の普通火災を表す。(地色は白)
- B火災 … 引火性液体などの油火災を表す。(地色は黄色)
- C火災 … 電線、変圧器、モータ等の電気火災を表す。(地色は青色)
よく試験にでる!火災の消火剤の種類について勉強しよう!
消火剤の種類とは?
よく試験にでる!代表的な消火剤は以下の通りです。
- 水
- 強化液
- 泡
- ハロゲン化物
- 二酸化炭素
- 粉末
1.水について ここ重要
水は、もっとも手軽に入手できる消火剤です。比熱と蒸発熱が大きいため、注水すると燃焼物や周囲の空気から大量の熱を奪います。このときの冷却効果によって消火が行われます。さらに、蒸発して水蒸気になると、周囲の空気の酸素濃度が低くなるため、窒息効果もあります。
水は普通火災の消火にもっとも適しています。しかし、油火災に注水すると、油が水に浮いて火災が広がるおそれがあるため、油火災には適していません。第4類危険物の火災にも、水は使われません。
水消火器は、ノズルを棒状の放射と霧状の放射(噴霧)とに切り替えられます。電気火災に水を棒状に放射すると感電のおそれがあるため、棒状放射の水は電気火災には適しません。
- ※ 水の放射方式と適応火災
- 1. 棒状放射 ⇒ 普通火災
- 2. 霧状放射 ⇒ 普通火災、電気火災
2.強化液について ここ重要
強化液は、水に炭酸カリウムなどのアルカリ金属塩類を加え、消火能力や再燃防止作用を高めたものです。また、-20℃でも凍らないので、寒冷地での使用にも適しています。
その他の特徴は水と変わりませんが、霧状に放射した場合、負触媒効果によって油火災でも消火できます。
- ※ 強化液の放射方式と適応火災
- 1. 棒状放射 ⇒ 普通火災
- 2. 霧状放射 ⇒ 普通火災、油火災、電気火災
3.泡消火剤について ここ重要
泡消火剤は、燃焼物を泡でおおって、窒息効果によって消火するものです。
泡の種類には化学泡と機械泡があります。化学泡は、炭酸水素ナトリウムと硫酸アルミニウムを混合し、化学反応によって発泡します。また機械泡は、消火器から放射する際に空気を混入して発泡します。
泡消火剤は普通火災、油火災に適応しますが、電気火災の場合は感電のおそれがあるため適していません。
4.ハロゲン化物消火剤について ここ重要
ハロゲン化物消火剤は、ハロン1301、ハロン2402などを主成分とした消火剤です。放射すると蒸発して不燃性ガスに変わり、燃焼物をおおって負触媒効果や窒息効果で消火します。
ハロゲン化物は油火災に適しているほか、電気を通さないため電気火災にも適合します。
※ ただし、ハロゲン化物のガスは地球成層圏のオゾン層を破壊することから、現在では生産されていません。
5.二酸化炭素消火剤について ここ重要
炭酸ガスを圧縮して液体の状態で消火器に充てんし、放射すると気化して燃焼物をおおい、窒息効果で消火する消火剤です。
油火災や電気火災に適しています。
6.粉末消火剤について ここ重要
りん酸アンモニウムや炭酸水素ナトリウム(重そう)の粉末を炭酸ガスなどの圧力で放射し、窒息効果と負触媒効果によって消火する消火剤です。
炭酸水素ナトリウムを使ったものは、油火災・電気火災には大きな消火効果がありますが、普通火災には適合しません。
その一方、りん酸アンモニウムを使ったものは、普通火災(A)、油火災(B)、電気火災(C)のどれにも適合し、「ABC消火器」と呼ばれます。現在の家庭用小型消火器は、ほとんどがこのABC消火器のタイプです。ここ暗記
- ※ 粉末消火剤の放射方式と適応火災
- 1. りん酸アンモニウム(ABC消火剤) ⇒ 普通火災、油火災、電気火災
- 2. 炭酸水素ナトリウム ⇒ 油火災、電気火災
よく試験にでる!主な第4類危険物の物性値
「引火点、発火点」ともに低いものほど危険性は大きく、「燃焼範囲」は広いものほど危険性は大きい。
- | 引火点(℃) | 発火点(℃) | 沸点(℃) | 燃焼範囲(vol%) | 液比重 |
---|---|---|---|---|---|
二硫化炭素 | -30 | 90 | 46 | 1.0~50 | 1.26 |
ジエチルエーテル | -45 | 160 | 35 | 1.9~36 | 0.7 |
アセトアルデヒド | -39 | 175 | 20 | 4.0~60 | 0.8 |
酸化プロピレン | -37 | 449 | 35 | 2.8~37 | 0.83 |
ガソリン | -40 | 300 | 40~220 | 1.4~7.6 | 0.7~0.8 |
ベンゼン | -11 | 498 | 80 | 1.2~8.0 | 0.88 |
トルエン | 4 | 480 | 111 | 1.1~7.1 | 0.87 |
アセトン | -20 | 465 | 57 | 2.2~13.0 | 0.79 |
メチルアルコール | 11 | 385 | 65 | 6.0~36 | 0.79 |
エチルアルコール | 13 | 363 | 78 | 3.3~19 | 0.79 |
灯油 | 40 | 220 | 145~270 | 1.1~6.0 | 0.8 |
軽油 | 45 | 220 | 170~370 | 1.0~6.0 | 0.85 |
重油 | 60~150 | 250~380 | 300 | - | 0.9~1.0 |
よく試験にでる!危険物の種類と代表的な物品
「法別表第1」は暗記しよう!
種類 | 性質 | 代表的な 物品 |
---|---|---|
第1類 | 酸化性固体 (固体) 不燃性 |
硝酸塩類 塩素酸塩類 過マンガン酸塩類 など |
第2類 | 可燃性固体 (固体) 可燃性 |
鉄粉 マグネシウム 金属粉 硫化りん 赤りん 硫黄 など |
第3類 | 自然発火性物質及び 禁水性物質 (液体または固体) 可燃性(一部不燃性) |
カリウム ナトリウム アルキルリチウム 黄りん など |
第4類 | 引火性液体 (液体) 可燃性 |
特殊引火物 第1~4石油類 アルコール類 など |
第5類 | 自己反応性物質 (液体または固体) 可燃性 |
有機過酸化物 硝酸エステル類 ニトロ化合物 など |
第6類 | 酸化性液体 (液体) 不燃性 |
過酸化水素 過塩素酸 硝酸 など |
種類 | 性質の概要 |
---|---|
第1類 | 物質そのもの自体は不燃性だが、他の物質を強く酸化させる性質を有する固体である。可燃物と混合したとき、衝撃、熱、摩擦を加えることによって分解し、極めて激しい燃焼を起こさせる。 |
第2類 | 火炎によって着火しやすい固体。また比較的低温(40℃未満)で引火しやすい固体であり、引火しやすく、かつ、燃焼が速く消火することが困難である。 |
第3類 | 空気にさらされることにより自然発火するおそれがある。または水と接触して発火し若しくは可燃性ガスを発生する。 |
第4類 | 液体で引火性があり、蒸気を発生させ引火や爆発のおそれがある。 |
第5類 | 固体又は液体である。比較的低温度で加熱分解等の自己反応を起こし、爆発や多量の熱を発生させる。又は爆発的に反応が進行する。 |
第6類 | 物質そのもの自体は不燃性の液体であるが、他の物質を強く酸化させる性質をもつ。他の可燃物と混在すると燃焼を促進させる性質を有する。 |
※ 第5類の危険物は、空気などから酸素の供給を受けなくても燃焼するのが大きな特徴である。